個人でもグループでも企業でも、相手と長く良好な関係を築くには、信頼され安心して付き合える相手と感じてもらうことが必要です。
信頼関係のある相手といると、安心と居心地の良さを感じます。あなたも、あるいはあなたが属しているグループや企業も、安心して付き合える相手と感じてもらうことが大切です。
◆ 些細なことが大きなトラブルに
いつも平穏無事な関係でいられるとは限りません。些細なことが引き金となって、それまでの良好な関係に緊張が生まれることは必ずあります。
そんな時にこそ相手の信頼度や理不尽さなどの人間性が浮き彫りになるものです。同じ1つのトラブルを原因にしても、関係が断たれることも、逆に互いの信頼が増すこともあります。
◆ 小さな不運を大きな不幸にしてしまうクセ
二十代の女性が友達と二泊三日の旅行に行くことになりました。旅行当日の朝、銀行のATMに行くと、「このカードは使用できません」とメッセージが表示され、自分のお金が引き出せませんでした。
出発の時間が迫っていた彼女はしかたなく、予備で持っていたクレジットカードのキャッシング機能を使い、お金を借入して旅行に行きました。
そのことがあって彼女は、楽しみにしていたショッピングも贅沢な食事も少し控えぎみ。旅行中気分がパッとしませんでした。一緒に行った友達に話すと、あなたが損をすることは無いからと、キャッシングで必要になった利息も銀行側に請求するようアドバイスされました。
旅行から帰った彼女はさっそく銀行に行き、使えなくなったカードを新しいカードに変えてもらいました。友人からのアドバイスもあり、キャッシングで発生した利息も負担して欲しいと願い出ましたが、銀行はこれには応じてくれません。
彼女はすっかり気分を悪くし、旅行が台無しにされたと担当者を怒りつけ、銀行をあとにしました。
◆ 事実と運・不運は別のもの
このように、1つのアクシデントが起こると「その日がたまたま」とか「その場所がたまたま」というように、不幸が連鎖してしまうことがあります。しかし、起こった事実とあなたにとっての運・不運はきちんと分けて考えないといけません。
彼女の場合、苦情が言える事実は銀行のカードが使えなくなったこと、ただそれだけです。その日に旅行だったことは、単なる不運です。したがって銀行に言うべき事は、カードが使えませんという事だけです。それ以外は自分のこと、他人のせいにしてはいけません。
一緒に旅行に行った友達のアドバイスもよくありません。彼女の不運を銀行に押し付けるようなアドバイスをする友達とは、早めに遠を断つべきです。このような無責任なことをさせる友達と付き合っていたら、彼女は物事の正しい判断ができなくなっていきます。
もっとも、いくらアドバイスが悪くとも、これを受けて実際に行動した彼女自身が一番の問題であることは言うまでもありません。
◆ 自己責任をはっきりつける習慣
他人のせいにしていい事は、自分ではどうしようもない事だけです。それ以外の部分を他人のせいにするのは間違っています。
したがって苦情が言える範囲と、自分で責任を負う範囲の境目にはっきり線を引かなければいけません。線を引くことを習慣にし、線のこちら側、つまり自分の責任の範囲を他人に押し付けないようにしましょう。
あなたという人間の大きさがわかる
線を引く場所は人それぞれ違いが見られます。線の内側は、あなたという人間の大きさそのものです。
そしてなぜか不思議なことに、自分の線はなかなか見えにくいものですが、他人が引いている線は簡単に見抜けてしまいます。つまりあなたが引いている線は、他人からはお見通しということです。
◆ ケジメが信頼と安心を生む
信頼され、安心して付き合える相手と思ってもらうための大切なポイントは、ケジメのある線引きです。自分の都合に合わせて、線を近くしたり遠くしたりしてはいけません。
ケジメのある線が引けている相手とは、誰でも安心して付き合うことができます。多くの人から、長く良好な関係でいたいと思われる、そんな風に線引きしたいものです。
勇作