姿勢や表情などの外見はその人の心理状態をよく表すと同時に、その人が他人に与える印象にも深く関係します。服の着こなしや身だしなみと同じように、時にはそれ以上に立ち姿勢や歩き方、笑顔や視線などの見た目は、その人の好感度に大きく影響します。
これは容姿や体格などと違い、少しの意識で変えることができます。また、姿勢や顔の表情といった外見を改善することで、感情などの内面にもプラスの効果をもたらします。
感じのいい人になりたいとか、印象を良くしたいとか、今までの自分変えたいと思うなら一番に意識したいものです。
◆ 銀行員から聞いた以外な話
銀行に勤めている友人から聞いた話です。彼は窓口で1日に何人ものローン申込を受け付けていました。ローンには審査があり、審査の結果によってはローン契約を断らなければいけない方も多いそうです。
そんな彼がローンの担当になって3年目にもなると、申込みに来るお客さんをパッと見た瞬間、審査の結果がだいだい予想できるというのです。彼の上司にも経験を積むと何となく分かるようになると言われたそうです。
どうして申込書さえ書いてもらっていないお客さんを、一見しただけで審査結果が予想できるのか、詳しい理由を尋ねても「自分でもはっきり分からない」と言います。
◆ 心の状態は見た目に表れる
きっとこれはお客さんの「ローンは問題無く借りられる」といった自信や、「断られるかも」とか、「先に行った銀行で断られた経験がある」といった不安などの心理が、何気ない姿勢や表情に表れ、それを彼が無意識のうちにキャッチしているだと思います。銀行に限らず接客業をする方々から同じ様な話を聞くことがあります。
心の状態が姿勢や表情やしぐさに無意識に表れることは、誰にも共通します。
逆にいえば、姿勢や表情を意識して改善することで、人に与える印象は変えられるということです。
例えばあなたの知り合いなどで、活力や自信に溢れる人、魅力に感じる人、感じのいい人などを想像してみてください。その方はいつもどんな姿勢ですか?歩き方は?表情や視線のおくり方はどうですか?
スーツの着こなしやメイクや身だしなみだけではない、素敵な印象を与えている要素が必ず見つかると思います。あなたもこういった要素を少し意識してするだけで、その知り合いに負けないくらいの魅力や好印象を、周りの人に持ってもらうことができます。
◆ 人の印象を決めるのは「見た目」
見た目や、話し方などが他人にどう影響するのかを検証した、メラビアンの法則という有名な実験結果があります。これによると人の受け止め方は、話の内容が7%、話し方や話すスピードなど耳で捉える情報が38%、見た目など視覚で捉える情報が55%の割合であったとなっています。
これは特定の条件下の実験結果ですので、この割合を単純に日常の全てに当てはめることはできませ。しかし目から入る視覚情報が与える影響力の大きさは確認できます。
ところが、こんなにも印象を左右することなのに、周りの人や街ゆく人を眺めてみると、姿勢や歩き方などに気を配れている人は非常に少ないことが分かります。実に多くの人がこのことに気が付いていない、あるいは知っていても実践できていないように感じます。
◆ 印象の良い姿勢や笑顔とは?
これは別の記事で書いて行きますが、印象を良くする姿勢や笑顔などの外見は、テレビなどでも簡単にお手本を探すことができます。テレビにうつる人は、常に姿勢や表情、目線などに気を配っているので、意識して観察することでたくさんの目標にしたい人が見つかります。
ここで歩き方の大切なポイントを1つだけ書いておきます。大変簡単なことです。でもそれだけで周りに与える印象がグッと変わります。
それは顔を上げて歩くということです。
足の運びや手の振り方に注意する前に、まずは顔を前に向けること。頭のてっぺんが真上を向き、あなたの前にあるもの全てが視線に入ることを意識するだけです。
たったこれだけの意識の変化で、うつむき加減で猫背になっている時と比べて、格段に堂々とした凛とした印象に変わります。
◆ 内面の魅力までつくり上げる姿勢
良い姿勢や落ち着いたしぐさを意識すると、なぜか心も良い方向へ向かいます。口元を上げると感情が明るくなることは科学的に実証されていますが、同じように姿勢や歩き方などの見た目を変化させることで心の状態にも変化が生じます。
ご自宅に神棚や仏壇がある方は、試しにその前でだらしない立ち姿勢になって手を合わせてみてください。全く気が引き締まらないものです。
お正月に神社で手を合わせる人の多くは、この時ばかりはみな良い姿勢です。背筋が伸び、胸が適度に張られ、頭のてっぺんが真上を向きます。そして気持ちが引き締まっていることが、周りから見ていても分かります。
外見である姿勢と内面の心に相互作用が働き、それが周りの人にもはっきり伝わります。
◆ 好かれる要素が好循環する、外見と内面の相互作用
企業の社員研修の講師をされている方から聞いた話ですが、会社の階段の踊り場ごとに大きな鏡を設置し、社員が自分の歩いている姿勢を常に自己チェックできる会社があるそうです。
この会社の誰も姿勢がきれいで、オフィス内は清々とした空気に包まれているとのことです。
姿勢は気を抜くと崩れやすいものです。すぐに鏡を設置することはできないにしても、時折自分の姿勢を確認し、いつも良い姿勢を心がけたいものです。
ちょっと意識するだけであなたの印象は驚くほど良くなります。
勇作